津々木徹也

海難事故で入院していた鳴神昇は、退院の日に恩師――真野老人が急死していたことを大学の友人たちより知らされる。急遽、資産家である真野老人の屋敷に向かった鳴神たちは、そこで本棚に偽装された秘密の小部屋と、屋敷の美術品の調査に来た私立探偵の綾部史郎と出会う。 綾部と合同で秘密の小部屋の捜索を行う鳴神たち――。そして発見された、一通の古ぼけた手紙。 その手紙の発見がきっかけだったかのように、その日から鳴神の身に次々と奇怪なことが起こり始める。 さらに、真野老人の急死の背景に、ヨーロッパ美術界の闇ブローカーと噂され続けているドイツ貴族：アルトベルク＝エーレンシュタイン伯爵家の関与が浮上してくる。 かつてはナチスを動かすほどの影響力があったと言われるエーレンシュタイン家が、なぜ真野老人と……？ エーレンシュタイン家は何を企んでいるのか？ 真野老人はなぜ死んだのか？ その教え子たちは何に巻き込まれているのか？ 様々な思惑が交差するなか、暗黒神の使者たちが暗躍を開始する――。